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「大統領のクリスマスツリー」 鷺沢萌

もうすぐクリスマス。

クリスマスの季節になると、なんとなく読み返したくなる本、

それが、鷺沢萌さんの「大統領のクリスマスツリー」。

この10年、何度も引越しを繰り返し、

しかも今は台湾に住んでいる事を考えると、

この1冊の単行本がずっと私のそばにあることが、

なんだかとても不思議にも思えます。

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「これがね、大統領のクリスマスツリー」

治貴のその言葉は今でも香子の耳の底に残っている―

アメリカ合衆国の首都ワシントンで出会い、

一緒に暮らし始めた治貴と香子。

いくつもの夢を次々と現実にし、2人は幸せをつかんでいく。

物語は、ワシントンの街をドライブしながら、

香子がそんな過去を回想することですすめられていく。


結論としては、ドライブの終わりが2人の終わり、

2人の歴史、クリスマスは終わってしまいます。

だけど、大切なのは結論ではなく、2人が紡いできた歴史、

香子の治貴への深い愛情、そしてケリのつけ方。

静かな語り口ながら、ぐいぐい引き付けられてしまいます。

そして考えます。「自分ならこんな別れ方ができるだろうか?」

考える暇もなく否!なんですけどね~。

「ワタシたちの11年ってなんだったの!?」とか、

「あなたのためにオシャレもしないで働いてきたのよ!」とか、

恩着せがましい事をいっちゃうんだろうな、ワタシなら。

本当はそんなこと言いたいんじゃないのに・・・。

文中で、香子が自分に言い聞かせる言葉として出てくる、

「心を強くしなければならない。つよい心とこわい心は違うのだ。」

という言葉は、私自身にも言い聞かせたい言葉です。

ワタシの心はずっとかたいままのような気がするからです。


作者の鷺沢萌さんは数年前自ら命をたたれました。

彼女のクリスマスも終わってしまったのでしょうか・・・。

彼女の作品がもう読めないことが残念でなりません。

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☆この小説原作の同名映画がありますが、ストーリーは異なります。

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⑬.本&DVD 」カテゴリの記事

コメント

鷺沢萌さんの書名は忘れましたが文学界新人賞を取った作品を読んだ記憶があります。
「大統領のクリスマスツリー」読んでみたいなぁ

投稿: longstay8 | 2006年12月18日 (月) 00:17

鷺沢萌さんの作品をいくつか読みましたが
これはまだだな~
お亡くなりになられたときはビックリしました。
作品、好きな方だったので

投稿: 87 | 2006年12月18日 (月) 17:02

大統領のクリスマスツリー、とっても意味深い作品なのですね。けんこうさんのレポで読んでみたくなりました。何度も読み返したくなる本、出会うことは少ないけれど、まだまだたくさんあるんだろうなぁ。

投稿: kaori☆ | 2006年12月18日 (月) 22:09

治貴と香子、いっしょにア紡いできたアメリカでの生活。成功した治貴は浮気をして離れていく。これを香子側からの気持ちを綴られているのでしょうか。
別れ際、香子の気持ちはふっきれたのでしょうか、それとも・・・。
気になります。
本を読んでいないので、間違っていたらごめんなさい。

投稿: dobozupe | 2006年12月19日 (火) 04:20

longstay8さま
「川べりの道」ですねー。彼女がまだ高校生の時の作品です。
彼女は韓国人とのクォーターで、大学時代それを知って韓国に留学しますが、それを受けて書いた「ケナリも花、サクラも花」や「君はこの国を好きか」なども、ぜひ読んでみたいと思っています。
「大統領の・・・」はそういう社会問題を含んだ小説ではないですが、純粋にいい恋愛小説だと思います。

投稿: けんこう | 2006年12月19日 (火) 08:58

87母さま
あの頃、好きな小説家が相次いでなくなって、すごくショックだったなぁ。野沢尚さんとか。
鷺沢萌さんの本は何冊か読んだのだけど、なぜか印象に残ったのがこの本。愛とは!?とか考えちゃうよ~。
今回読み直し(調べなおし)て、敬遠していたエッセイ「ケナリも花、サクラも花」も読んでみたいと思ってます。
※ケナリ=韓国の花

投稿: けんこう | 2006年12月19日 (火) 09:03

kaori☆さま
どちらかというと普通の恋愛小説なのですが、あまりどろどろしていなくて、とにかく美しくて、「そんなんムリだろ?」って思うのに、なぜかまた読んでしまうのです。不思議です☆
彼女は韓国人の血を引いているのですが、それを知る前と後では作品の雰囲気が変わっているようなので、その辺も新たに読んでみたいと思っています。

投稿: けんこう | 2006年12月19日 (火) 09:23

dobozupeさま
アタリ!です。
すみません。ネタバレな小説紹介で・・・。
香子があってこその治貴のアメリカでの成功。
一つ一つ夢を実現し、ウソみたいに幸せをつかんだころ、治貴のココロが離れてしまうのです。
でも小説中、香子は恨みがましい事を一切言いません。
ただ「あまりにも好きすぎていた」と。
ラスト、彼女は自分なりに気持ちにケリをつけます。
正直、読者であるワタシはすっきりしないのですが、なぜか何度も読んでしまうのです。不思議です。

投稿: けんこう | 2006年12月19日 (火) 09:29

おはようございます、けんこう様

台北も京都も、すっかり寒くなりましたね。
私は毎日ダウンジャケットでもこもこ出勤しております(笑)。

「大統領のクリスマスツリー」はまだ読んだことがありません。
鷺沢萌さんの作品自体、未読なんですよ~。
けんこう様のご紹介で、読んでみたくなりました。
寒い季節は暖かい部屋で読書が、一番ですよねぇ。

投稿: いけこ | 2006年12月19日 (火) 10:02

いけこさま、こんばんわ。
京都はもうダウンジャケットを着るくらい寒いんですねー。いけこさんはスリムだからちょっとくらいモコモコした方がいいですよ~☆台湾も随分寒くなりました。明日暖房器具を買いに行くつもりです。タイルの床は寒いー!
今年またあらためて読んで、彼女のもつ「闇」の部分をもっと知りたくなりました。彼女が自分に韓国人の血が流れている事を知った後に書いた「君はこの国を好きか」も読んでみたいな、と思っています。

投稿: けんこう | 2006年12月20日 (水) 23:42

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